新しく購入してきた熱帯魚やエビたちが水槽に導入して2〜3日であるいは一週間以内に死んでしまう原因とその解決策を解説していきます。
水槽が立ち上がっているのは前提
今回はバクテリアが繁殖して水槽が立ち上がっている状態(有害物質が分解され安全性の高い水槽環境)であることを前提とし、それ以外で起こる生体の死亡原因や解決策について解説していきます。
立ち上げが完了しているのになぜかいつも新規の生体が死んでしまうといった方に参考となる内容になっています!
逆にアクアリウムを始めたばかりで、水槽に水を入れてすぐに生体を導入しているという方は”水槽が立ち上がっていない”ことが理由で生体が死んでしまいますので、水槽の立ち上げ方や知識を知りたい方はこちらの記事をご参照ください。
生体が死んでしまう5つの原因
- 生体が弱っていた
- 水槽内が汚れている
- 生体の量が多い
- 水質が合わない
- 水温が低いor高い
1.生体が弱っていた
お店やネットで購入した生体たちは必ずしも元気な状態であるとは限らず、弱っている生体も少なからず存在しています。
そのため、もしその弱った生体を購入してしまった場合は水槽に入れて数日で死んでしまう可能性があります。
ただし、これは確率的に何度も起こる原因ではないため、「いつも新規の生体が死んでしまう」という方は別の理由が原因である可能性が高いです。
対策
購入時になるべく元気な生体を選ぶようにすることでリスクが減りますので、お店で購入する際は「ヒレなどがボロボロ」、「痩せている」、「じっとして動かない」などの生体は避けてもらうよう店員さんにお願いしてみてください。
また、移動時も気温の変化や衝撃などで影響を与えないように気をつけましょう。
2.水槽内が汚れている
水質 | 解説 | 理想数値 |
NO2(亜硝酸塩) | 生体に有害な物質 | 0mg/Lに近い程良い |
NO3(硝酸塩) | NO2が分解されたもので毒性は下がる | 0mg/Lに近い程良い |
「水槽内が汚れている」とは、餌の食べ残しや糞などの量が多く蓄積されている状態などのをことを指し、発生したアンモニアや亜硝酸塩などの有害物質によって生体が死んでしまうことがあります。
本来アンモニアや亜硝酸塩はバクテリアによって害が少ない硝酸塩へと分解されていきますが、餌や糞の量が多いと分解しきれず、水槽内に有害物質が溜まってしまいます。
水槽の立ち上げ初期に生体たちが死んでしまいやすいのは、バクテリアが繁殖・活性化していないため有害物質が溜まってしまうが原因の1つです。
アンモニアや亜硝酸塩が多い状態であるかを測定するには下記の”テトラ試験紙”がおすすめで、水に1秒浸けるだけで簡単に測定できます。
対策
水槽内に有害物質が溜まらないようにするためには、”換水の強化”と”濾過の強化”が大切になるため、それぞれ具体的に紹介していきます。
換水の強化
換水の強化方法としてはただ水替えをするのではなく、底に溜まった汚れを吸い出しながら行なっていくことが非常に重要になります。
具体的には、プロホースを使うことで砂やソイルなどを排出せずに底に溜まった汚れを吸い出すことができるため、換水時はより効果が高くなるプロホースを使用することをおすすめします。
濾過の強化
小型熱帯魚が多い水槽や水草水槽の場合には、外部式フィルターを使用して濾過効果を高めるのが効果的です。
様々な種類がある濾過フィルターの中でも外部式フィルターは特に濾過能力が高く、水の流れが止まった止水域も作りにくいため、小型熱帯魚たちにとっても良い環境を作り出してくれます。
3.生体の量が多い
水槽サイズに対して生体の量が多いと、その分餌や食べ残し、糞などの量も増えるため有害物質が多く発生してしまいます。
水槽内にいる生体は生きているのに新規で追加した生体が数日で死んでしまうという方は、新規の生体の方が水質の変化やストレスなどが大きい状態のため起こってしまいます。
そのため、先住の生体たちが無事だから「生体量の多さは関係ない」と判断することはできません。
対策
水量 | 小型熱帯魚の適正飼育数 | |
30㎝以下水槽 | 10ℓ以下 | 5匹前後 |
30㎝水槽 | 約10ℓ | 10匹前後 |
45㎝水槽 | 約30ℓ | 30匹前後 |
60㎝水槽 | 約60ℓ | 60匹前後 |
90㎝水槽 | 約160ℓ | 160匹前後 |
水槽内の生体数を減らすことが必要になるため、「生体を譲る」・「水槽台数を増やす」・「水槽サイズを大きくする」などの対応が求められます。
水槽サイズごとの適正飼育数は、餌や生体の種類、使用している濾過フィルター、底砂の種類など様々な要因によって変わりますが、「1ℓあたり体調1㎝の熱帯魚1匹が目安」となっていますので慣れていない方であれば上記表を参考にしていただければと思います。
4.水質が合わない
水質 | 解説 | 理想数値※ |
pH(水素イオン濃度) | 数値によって酸性~アルカリ性を示す | 6.0前後(弱酸性) |
KH(炭酸塩硬度) | この数値が低いとpHが下がりやすい | 3°dh以下 |
GH(総硬度) | 軟水・硬水の判断 | 3°dh以下(軟水) |
熱帯魚にはテトラなどの弱酸性を好む種類や反対にシグリットなどのアルカリ性を好む種類がおり、熱帯魚の種類と水質が合っていないと弱ったり死んでしまったりします。
対策
- 住んでいる地域の水道水のpHや硬度が高め
- 石や貝などの素材を使用
- ソイルを使用
- CO2添加をしている
熱帯魚に異常が生じた際は、その原因を特定するために水質測定をするのが有効ですが、事前にどうしたらpHや硬度が上がる、あるいは下がるのかを知っておくことも大切となります。
また、水草がうまく育たない原因としても水質が影響している場合があり、pHや硬度が高いと「成長が遅くなる」「葉がごわごわと硬そうになる」「発色が悪くなる」など多くの悪影響があります。
例として、硬度を上げる石(青華石など)をたくさん使用している水槽では、pHや硬度が上昇し、水草の調子は悪くなりがちになります。
多くの水草は弱酸性よりの軟水を好みますが、キューバパールグラスなどのアルカリ性よりの硬水を好む種類もあります!
5.水温が低いor高い
メダカなどのように低温でも耐えられる種類もいますが、多くの熱帯魚たちは26度前後が適温とされています。
そのため水温が低いまたは高すぎる場合には生体たちが弱ったり死んでしまったりします。
具体的には水温が18度以下、または30度以上になると経験上危険度は高かったです!
水温は天候(気温)の影響を受けやすいため水温計の設置は必要になってきますが、おすすめの水温計は下記記事で紹介しており、おしゃれなアナログ水温計やスマホなどでも管理ができるデジタル水温計などがありますのでご興味ある方はぜひご参照ください。
対策
ヒーターを使用する
【ヒーターに掛かる電気代の目安】 | 消費電力 | 冬季の電気代(最大月) | 電気代(月平均) |
30㎝水槽以下 | 10〜20W | 約200〜400円 | 約67〜133円 |
30㎝水槽 | 50W〜 | 約972円〜 | 約324円〜 |
45㎝水槽 | 120W〜 | 約2333円〜 | 約778円〜 |
60㎝水槽 | 160W〜 | 約3110円〜 | 約1037円〜 |
90㎝水槽 | 300W〜 | 約5832円〜 | 約1944円〜 |
120㎝水槽 | 500W〜 | 約9720円~ | 約3240円 |
ヒーターは水温が低い場合に使用しますが、LED照明や濾過フィルターなどと比べると電気代が高くなってしまいます。
しかし、ヒーターの使用は時期的なものですので、年間で考えると上記表のようになっており意外とそこまで大きな負担にはなりません。
そのため水温が18〜20度以下になる場合は、ヒーターを使用して管理するようにしましょう。
冷却ファンを使用する
- 水に溶け込む酸素の量が少なくなる
- 生体の代謝が上がって酸素消費量が増える
- バクテリアが影響を受けて生物濾過が弱まる など
水温が高いと直接的な負担があること以外にも上記のような影響があるため、冷却ファンなどを使って水温を下げる対策が必要になります。
ただし、安定した冷却効果はあるものの−3度程度の効果であるため、猛暑のときには対応しきれない場合もあります。
高い冷却効果を求める場合には水槽用クーラーがおすすめですが、こちらはより確実で高い冷却効果が期待できる分、本体価格・電気代が高額という特徴もあります。
不調には必ず原因がある
今回解説した「生体がすぐ死んでしまう」という場合に限らず、「水草がうまく育たない」など”不調”には必ず原因が存在します。
原因を一つ一つ疑って検証していくことで、不調の原因発見・解決に繋がりますので、あきらめず頑張ってみてください!
当ブログではなかなか原因がわからず長期に及んで悩んでいる方のお役に立てるよう様々な情報を紹介していきたいと思いますので、お悩みがある方はブログ内での検索あるいはコメントや問い合わせメールなどを送っていただければと思います。