水槽で発生する油膜について、その影響や発生原因、対策などについて解説していきます。
具体的な発生原因
- バクテリアの死骸
- 餌の量が多い
- 水草のトリミング
- 油脂分を含んだ流木
- 濾過フィルターが汚れている
油膜が発生する際の主な原因は酸欠・栄養過多・濾過不足などが考えられ、上記のような場合に油膜が発生しやすくなります。
1.バクテリアの死骸
バクテリアは水槽内を綺麗にする存在としてアクアリウムには欠かせない存在ですが、酸欠などによって死骸となったバクテリアは油膜として水面に浮いてしまうことがあります。
水槽の立ち上げ初期にバクテリア剤を入れすぎたりした場合は、バクテリアが酸素を消費していくため酸欠になりやすくなります。
また、水温上昇なども酸欠に繋がるため温度管理も大切になってきます。
2.餌の量が多い
餌が多いと水中のタンパク質量や糞などが増えて油膜の発生に繋がってしまいます。
餌の与えすぎはコケの発生にも関係してくるため、少ない量にして与える回数を増やすなど適切な量を見極めて与えることが大切になってきます。
3.水草のトリミング
水槽が安定してきたときでも水草を大量にトリミングすると、水槽内の栄養消費量や光合成による酸素供給量が減少し、油膜が発生してしまう場合があります。
4.油脂分を含んだ流木
油脂分を含んだ流木や腐敗した流木を使用した場合、油膜が発生することがあります。
その場合は煮沸したり活性炭を入れたりすると改善される場合がありますが、腐敗がひどい場合は新しい流木の使用をおすすめします。
また、石などの素材もカルシウムが溶けて油膜のように浮いていることもあります。
5.濾過フィルターが汚れている
ウールマットなどの汚れはもちろん、濾過フィルター本体にも汚れが溜まっていると油膜が発生してしまうことがあります。
外部式フィルターの場合、上記画像のようにカバーを外すとインペラー等といった部品があり、かなり汚れが溜まってしまいます。
そのため、濾過フィルターはろ材だけではなく本体もしっかり洗うようにしましょう。
油膜の影響
- 酸欠になる可能性がある
- 水草に光が届きにくくなる
- 見栄えが悪い
1.酸欠になる可能性がある
油膜が張ると空気と水が触れる面積が減り、水中内に酸素が供給されにくくなるためバクテリアや熱帯魚たちが酸欠になってしまう可能性があります。
2.水草に光が届きにくくなる
多少の影響ではありますが、油膜が照明からの光を遮ってしまうため水草へ光が届きにくくなってしまいます。
その結果、光合成によって供給される酸素量も減少し、さらなる酸欠や油膜の発生を招きかねません。
3.見栄えが悪い
なんだかんだ1番気になるのが、”水槽の見栄え”が悪くなってしまうことです。
水槽の表面が油膜でギラギラしてると、せっかく綺麗な水槽が汚く見えて不快な気持ちになってしまいます。
6つの対策
- 酸素供給を行う
- 油膜除去商品を使う
- 油膜を食べる生体を飼育する
- 水温の上昇を防ぐ
- 換水を行う
- 濾過フィルターをしっかり洗う
油膜の発生には酸欠・栄養過多・濾過不足が関係してくるため、それに基づいた具体的な対策方法を紹介していきます。
1.酸素供給を行う
エアーポンプによる酸素供給
油膜が発生した際にまず行う対策として有効なのがエアーポンプを使用した酸素供給(エアレーション)です。
油膜が発生したということは、酸欠によるバクテリアの死骸などが原因である可能性があるためエアレーションを行うことで酸素を十分に供給し、油膜発生の原因を解決していきます。
エアレーションを行う場合には気泡が非常に細かい”アンビリーバブルAIR”がおすすめで、水はねもかなり防ぐことができますので、詳しい性能については下記記事をご参照ください。
濾過フィルターによる酸素供給
濾過フィルターの排水を利用した方法も酸素供給として有効な方法で、外部フィルターであればリリィパイプの排水側パイプを水面ギリギリに配置させることで水が大きく揺れて酸素が供給されます。
この方法であればアーポンプを使わなくても酸素供給効果を得ることができますので、日常的にも有効なエアレーション方法となります。
リリィパイプはデザイン性も高く、その他にもメリットがありますのでご興味ある方はこちらの記事をご参照ください。
また、外部式フィルターの特徴や向いている人などについては下記記事で解説していますので、そちらもご参照ください。
2.油膜除去商品を使う
ユマクリア
水面に浮かぶ油膜や小さなゴミ、アクなどを除去してくれるアイテムで、水中ポンプを使って水面の水と浮遊物を吸い込み、濾過した水を排水する仕組みとなっています。
また、熱帯魚の吸い込み防止を防ぐ機能なども備わっているため安心して使用することができますが、稚魚や稚エビなどは吸い込んでしまう可能性があるため注意が必要となります。
リリィパイプ スキマー
外部式フィルターの吸水側につけて使用する排水パイプ一体型のスキマー(上澄みをすくい取る道具)で、日常的に水面付近を綺麗にしてくれます。
浮力によって水面の高さに自動で合わせてくれるため、水量の増減を気にしなくても使用することができます。
外観を壊しにくく水面に浮いた小さなゴミなども綺麗にしてくれるため外部式フィルターを使用している方にはかなりおすすめとなっています。
3.油膜を食べる生体を飼育する
油膜を食べる生体としてはブラックモーリーなどが有名で、水面をパクパクしながら油膜を食べてくれます。
ただ、個体によって食べる量の差があったりするため確実な改善にならない可能性もあります。
4.水温の上昇を防ぐ
水温が上昇すると飽和溶存酸素量が減ったり(酸素が溶け込む量が減る)、生物が活性化されたことにより酸素消費量が増えるため、水槽内が酸欠状態になりやすくなります。
そのため、冷却ファンなどで水温を下げてあげると酸欠状態を和らげることができます。
冷却ファンには−3度程の効果があり、気過熱によって低コストかつ安定した冷却効果を得ることができるため多くの人にとって使いやすい商品となっています。
氷などを入れて水温を下げようとすると急激な水温変化で生体に負担をかけてしまいますので注意しましょう!
5.換水を行う
換水には酸素の取りこみや余分な栄養、汚れの除去などが期待できるため効果的な対応といえます。
ただ、1回の換水で改善されることはあまりないため、油膜がひどい時は少ない量の換水を頻度を多https://aquakaido.com/filter-maintenance/くして行うと良いです。
換水は底に溜まった汚れも綺麗に吸い上げる”プロホース”を使うと、美しい水槽が維持しやすいためおすすめです。
6.濾過フィルターをしっかり洗う
換水を行ってもすぐに油膜が発生する場合には、濾過フィルターが汚れている可能性があります。
濾過フィルターはろ材以外にも本体の汚れが溜まっていくため、カバーを外して細かい部品のとこまで綺麗にしてあげる必要があります。
上記画像はエーハイム製の外部式フィルターですがヘッド部分にもかなり汚れが溜まり、放っておくと逆に水槽が汚れたり「カラカラ…」と異音が発生してしまったりするため、どの種類の濾過フィルターであってもメンテナンスはかなり重要な作業になります。
油膜のない水槽を目指す
どんな水槽にも油膜が発生してしまう可能性はありますが、酸素供給や濾過フィルターのメンテナンスをしっかり行えば油膜が発生する可能性はかなり少なくなります。
油膜が発生しても急を要するような大きな問題が起こることはありませんが、あまり長く放置すると生体や水草の不調にも繋がりますのでなるべく早く対策や環境改善を行うようにしましょう。